前回の記事の続きです。
前回はDr. Boogie(※)の回路図を確認して軽く部品選定をしたところまででした。
(※)Dr. Boogieとは、Mesa Boogie Dual Rectifierをトランジスタ回路で再現し、コンパクト化したエフェクター
今回はLTSpiceでDr. Boogieの回路を描いてみて、シミュレーションをしてみました。
あまり知られていないかもしれませんが、Spiceは入力信号としてwaveファイルを扱うことができます。
そして、シミュレーションした結果をwaveファイルに出力することもできます。
ということは、ギターのドライの音を録音してSpiceに入力すれば、アンプを通した音をシミュレーションすることができます。
実際に回路を組む前にどんな音が出るのかをシミュレーションすることができるというわけです!
これなら失敗せずにアンプやエフェクターを作ることができるぞ!というわけで実験してみたのですが・・・
結論を先に言いますと、あまりうまくいきませんでした。
うまくいかなかったのですが、せっかくシミュレーションしたので、結果がどのようになって、どこが悪かったのかを考察してレポートしたいと思います。
回路図
Dr. Boogieの回路図をLTSpiceで描いてみました。
そして、この回路のシミュレーションをします。
音を聴いてみる
Dr. Boogieをシミュレーションした音を実際に聴いてみましょう。
比較対象としてMesa Boogie Dual Rectifierの再現性が高いと評判のアンプシミュレーターPoulin Lectoの音も聴いてみましょう。
録音に使用した機材は下記のとおりです。
・DIY Power Amp
・Peavey Bandit 112 (キャビネットのみ)
・Shure SM57
下記の順番に再生されます。
1.ギターのドライ音
2.Dr. Boogie シミュレーション出力
3.Lecto出力
4.Dr. Boogie シミュレーション出力をパワーアンプとキャビネットに通してマイク録音したもの
5.Lecto出力をパワーアンプとキャビネットに通してマイク録音したもの
こうして聴いてみると、Dr. Boogieのシミュレーションはブーミーでこもった感じの音です。
それに比べてLectoのほうがキメ細やかな歪みです。
シミュレーションの結果としては、Dr. Boogieの音はちょっとイマイチでした。
ここには載せませんが、いろいろ回路定数を変えてみてシミュレーションしても、こもった感じとブーミーな感じは改善できませんでした。
この結果を踏まえると、実際にDr. Boogieの作製に進んではいけないような気がします。
出力波形
聴いた音にどんな差があるのか、波形を見てみます。
上がDr. Boogieのシミュレーション波形で、
下がLectoの出力波形です。
全体的にDr. Boogieのほうが増幅度が大きく、クリッピングが強いようです。回路のゲインの設計がうまくいっていないのかもしれません。
また、Dr. Boogieの波形はなめらかなのに対し、Lectoの波形はトゲトゲしている部分があります。このトゲトゲの部分が高域の成分を表しているのではないか?とも思います。
考察
なぜDr. Boogieをシミュレーションした音がイマイチだったのか?を考えてみました。
まとめ
今回はDr. Boogieの音をLTSpiceにてシミュレーションしてみましたが、結果、音がイマイチだったので作製に進んでよいものか疑問が残ります。
もう少しシミュレーション方法を見直してみたいと思います。
ただ、目的はMesa Boogie Dual Rectifierの音を手軽に出したいというだけなので、シミュレーションの原理を勉強するより先に実機を作ってしまったほうが早いかもしれませんが。。